ゲーセンに行くと、相変わらず6thは大盛況で行列ができている。それは予想していたが、
驚いたのは5th台。HELLコースが無くなって寂しがってた美鳥に家庭用をまた貸したのだが、
その美鳥がなんとDPをやっていたのだ。専用コントローラ2つ付けて貸したのは1週間前なのに
もうゲーセンデビューしちゃってるよ……まあ俺もやりこんでそのくらいだったかもな。
今彼女がやっている曲はCome With Me、ゲージ赤くて4曲目ということはEX.HEAVENコースか。
4thや6thはEX.1コース目でもDPでは難しいが、5thのこのコースはDPでも簡単だ。
最後のDeadlineがLightだからな。お、曲が終わったようだ、声をかけてるため近づいた。
「早いな、上達」
「あ、テツ♪」
筐体の近くは大音量なので会話に向かない。後1曲なので先に終わらせるように促した。
まだたまにキーを外すことはあるが、単発でやってもクリアできそうだった。ゲージも
結構残ってるし。って……
「もしかしてEASY?」
簡単な曲とはいえまだ不慣れな腕の使い方で美鳥は疲れていたので、ベンチに座らせた。
「うん、まだ自信が無くて」
「でもあれだけゲージ残ってたらEASY無くても平気だろ」
「家庭用と勝手が違うから、まずEASY入れてみたんだけど」
「そうすると2度クリアしなきゃならなくなるから面倒なんだよ」
「そ、それは自信があればねぇ(^^;」
オプションとしてEASYがあるのはまあ異論はないが、やはりクリアと言えばEASYやオート
スクラッチなど入れない状態でのクリアだと思っている(ランダムは微妙)。
「でもオートスクラッチは入れてないのな」
「あれがないとビーマニじゃないからね(^^)」
美鳥がDPに目覚めた(大袈裟)となると、こちらもDPの見せがいがあるというもの。
ここはひとつ、DP EX.NEW WAVE でもやるかね。俺は5th台へと向かった。美鳥もついてくる。
96>100> 96> 98> 62。やっぱVは強敵だな……
「ねぇ……Vの階段、指滑らせすぎ〜」
「しょ、しょうがねぇだろ、あんなに降ってくるんだから」
せめて1357の階段は指4本で綺麗に弾きたいものだが、その前後の指使いを考えると
滑らすのが手っ取り早いし。13と57を2こずつ取ることも考えてみたが、いざ階段をみると
躊躇して、結局滑らせてしまうんだよな……
「見た目が良くないよ、ちゃんと1つずつ弾かなきゃ。ルイスさんみたいに……」
「ああ、dj LUISみたいに『弾き』たいよな、まああそこまで指動かせたら逆に『引く』けど……」
『弾く』と『引く』を掛けてみたが、やっぱ気付かんだろうな、と美鳥の方を振り返ると、
なんか口半開きで明後日の方向を向いている。俺のシャレが寒いからってわけじゃないよな……
「……美鳥?」
「うん?! なぁに?」
いかにもわざとらしい素振りを見せた。演技が下手だな……じゃなくて、そういえばLUISさんが
このゲーセンに来てた時、こいつ妙な行動を起こしてたよな。やっぱLUISさんと面識があるんじゃ
ないのか? ……でもこの前のこともあるし、言及するのは控えよう。でも仮定するなら、
LUISさんにあこがれてビーマニをやり始めたとか、今回のDPの上達振りもLUISさんの影響とか……
彼がDP EX.HELLを余裕でクリアするのは有名だから、せめてSPでもクリアできたら、と思って
HELLをやりまくってるということも考えられる……もしかして、DPをやっていたから、俺にまた
声をかけたということも……
「ちょっと、テツ?」
「えっ、あっ、なんだ?」
今度は俺の方が呼び止められることに。そういや俺がなぜ呼び止めたか言ってないし……
美鳥は目を据わらせて
「……なんかわざとらし〜」
そりゃお前の方だろ、とは言い出せず……
「次はFly Highやってみろよ」
「ええ〜、だってアレ最後sometimeでしょ〜?」
DPでのレベルは★7だ。でも弾ければ楽しい曲だとは思うが。
「だって、他のコースはもっと無理だろ」
「そりゃそうだけど……仕方ないわね、じゃあEASYで」
「オートスクラッチは……付けないんだったな」
「当然♪」
まあ結局sometimeで落ちたのだったが、彼女なら数日もすればクリアできるようになるだろう。
俺も負けないように6th曲――やりたいのだが、並ぶの面倒……近くにビーマニする人が少ないと
寂しいが、多いなら多いで自分の番がなかなか回ってこない。PLAYを見せるゲームとしては
難しいところだよな、と思った。