ゲーム以外


「あれ、美鳥……?」

 自転車でゲーセンに通りかかったとき、美鳥らしき人影とすれ違った。向こうも気付いて

振り返ったので間違いはないが、ゲーセンはもう少し向こう側。つまり美鳥はゲーセンを

通り過ぎていたのだ。

「テツはゲーセン?」

「ああ……美鳥は違うのか?」

「今日は、ちょっと服を買いにね」

 女の子は男よりお洒落に気を遣うものだが、美鳥はいつもあの皮ジャンが目に付くので

あまりそういう感じをさせなかったが、やはり女の子なんだろうな。いや別に男だって化粧する

時代なんだから関係ないが、少なくとも俺はそういうのに鈍感だからな。

「テツも来ない?」

「荷物もち……でなかったら」

「ハイハイ、ちゃんと自分で持つって(^^;」

 まあ益田と違って美鳥なら持ってやってもいいんだけどな、服だって軽いもんだし。

チャリはゲーセンの前において美鳥の後についていった。

 

 某安売りの衣料店はやはり混んでいたが、ニュースで見るような休日の混み様程でもなかった。

美鳥はというと、冬服の上着を見ていた。今の皮ジャンでも十分暖かそうなのだが、

「このジャンパーは夏仕様だから」

 なんでも通気性がよいものらしい。確かに夏でもしてたもんな、あのゲーセンは冷房が

効きすぎるから、というのもあるけど。俺も何か買ってみようと思ったが、人がいっぱい

通る上にセンスにも自信がないから買うのを諦める。マンションにある服は皆家から持って

きたものでこっちで買ったものはなく、その家から持ってきたものは妹に選んでもらったものだ。

妹は性格はアレだが(何)、服のセンスはまともなんだよな……

「これにしようかな……どう?」

美鳥

 とりあえず上着を決めたのか、美鳥は選んだものを胸の前に当て俺に見せてみた。人気の

フリースってやつだな……しかし「どう?」と聞かれても返答に困るな……

「いいんじゃ……ないか?」

「本当?」

「多分……」

「多分って……まあいいわ」

 一応それは買うことに決めたのか、折り畳んで抱えると、今度はジーンズの方へ走っていった。

やっぱスカートは履かないか……別に期待しているわけではないのだが(疑)、やはり美鳥は

活動的なのが似合うよな。

 

 結局美鳥だけがフリースとジーパンを買い、店を出た。もちろん買ったものは美鳥本人が

持っているのだが。

「で、この後はやっぱりゲーセン?」

「ううん、今日はこのまま帰るけど……」

 ゲーセンにも寄らずにとは美鳥らしくないとは思ったが、どうやら家庭用でDP練習しまくる

とのこと。6thをしなければ、確かに家庭用で済ませられるからな。

「でもテツが超絶プレイを見せてくれるんだったら付き合ってあげてもいいけど?」

「超絶って……まあDP TRANCEコースがなんとかクリアできるようになったくらいかな」

 後半2曲、特にColorsで激減だ。階段多い曲は苦手だ……

「IRとかは参加しないの?」

「どっちかというとクリアラーだからな、GOODでも拾えりゃいいって感じだから性にあわないし」

「でも、『参加することに意義がある』って言葉もあるけど(笑)」

 確かに上位に入賞したから、じゃなくてPLAYした回数だけ景品をもらえる確率が高いと聞くが、

ここのゲーセンはパスワードを取ってる人をあまり見かけないので、パスワードを取ってる時間

後ろの人を待たせるのも気が引けるからな……ほんの15秒ほどだろうが。

「そういう美鳥は、DPは上達したのか?」

「えーと、HolicのLightはクリアしたかな?」

「へぇ、そりゃすごい」

 ★4とか抜かしておきながらの高難易度だからな、アレは。まあ3rd時代はDP用難易度が

なかったから紛らわしかったのだが。14keyのHolicとなると6thでは「禁」レベルだからな……

「でも1・2回しかクリアしてないけど(^^;」

「美鳥は、1回でも偶然でクリアできたら、その曲はあまりしなくなるか?」

 片っ端から未クリア曲を減らすことを考えるため、クリア安定してなくてもとりあえず終えて

他の曲にとりかかってしまう。だから他の人に聞かれたときに「クリアできます」とか言って

おきながらクリアできなかったりするんだよな。いや俺はそうは聞かれたことはないけど。

「うーん、やっぱり他の曲に移っちゃうかなぁ、でも好きな曲だったらよくやるよ、

 Final Count Downとか」

「……DPクリアできるのか?」

「ん?……まだ(笑)」

 その後はそのDP TRANCEを1回見せただけに終わった。98> 92> 94> 86> 22か。Colors……


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