……いや、そりゃクリアしてる人何人か見てるけどさ、俺の場合は最近はDPばっかやってた
わけで……SPとDPの上達って必ずしも同調しないって、わかるよな?
「そうかなぁ、私はDPやっててもSPでクリアできる曲増えたけど」
と美鳥。そりゃお前はまだ上達できる余裕があるからだろ。俺くらいまで上手くなると、
そこからさらに上達するのは難しくなるからな。その壁がDP TaQ曲だったりするのだが。
というわけで3曲目、NEMESIS(A)の後半突入で0%。V(A)が2曲目ってどういう
ことだよ……もっと家庭用で練習しときゃよかったが、まだ美鳥に貸してたんだっけ。
「うーん……DPも楽しくなってきたから、まだクリアしたい曲いっぱいあるの。
もうちょっとだけ貸してて、ね?」
ここでダメと言うのは同じビーマーとして、してはならないような気もする。やっぱり
同じくらいの腕になって、ライバルって感じになったほうが面白くなるからな。だからって
この辺の美鳥の上達振りはちょっと怖いな……(笑)
腕がつりそうになるほどPLAYしたので、一旦休憩。丁度美鳥が5th台でDP UGコースを
EASY付きで2%でクリアしたところだった(^^; 今のところクリアの確率は5割らしい。
一応俺の前でクリアが証明されたということで嬉しさが顔に表れている。
今日はやけに客が少ないな……多いときはIIDXに4・5人並んでたりするのだが、今日は
俺ら2人の他にやろうとする人はいない。ゲーセン全体の客はそれほどでもないのだが。
「ちょっと向こうに、新しいゲーセンが出来たんだって。音楽ゲームが結構入ってるって
ウワサだけど」
「へぇ、知らなかったな……今度行ってみっか?」
「……うん」
俺の誘いに、なぜかちょっと考えたような表情をしてからうなずく美鳥。何か不満でも?
「しかし今日は、なんか貸切みたいだな」
ゲーセンではなくて音ゲーが、である。だから続けてやりすぎてへばってる状態なのだ。
「そうでもないよ、ほら」
と言って美鳥が指差した先には、ポップン7をやっている1組の男女。高校生か大学生くらい
だろうか、2人で協力してボタンを押している。そういえばポップンって、元々多人数で
プレイできるのがウリで出たはずなのに、いつのまにか1人で叩いてる人ばっか見るように
なったな。それを考えれば、この光景はほほえましいのだが……
「……なんか熱いなぁ」
当然ながら、2人がハイパー譜面に挑戦してて手の動きが激しい、という意味ではなく、
簡単な曲を楽しそうにやっているのだ。合間にお互いの顔でも見つめながら。
「うらやましいの?」
美鳥もポップン台をじっと見ながら言った。うらやましいといえば……そうかもしれないが、
ただ恋人同士、ということじゃなく、2人が堂々と仲良くしていられるということが、だ。
もし俺に彼女ができても、ひやかされるんじゃないかと思って佑馬とかに紹介できないだろうな。
まあ佑馬の場合は前から知ってたことだから……
「ね、私たちも一緒にやらない?」
突然美鳥がそんなことを言い出した。それじゃまるで俺たちが付き合ってるみたいじゃないか
……いや、ポップンしてるカップルは、彼女の方は初心者みたいな手つきだから、彼の方が
彼女に合わせているのだと見える。でも美鳥はそこそこできるから、俺たちがやったら熱いは
熱いでも、それこそハイパー譜面みたいなのに挑戦すべきなのだろうか?
「いや……俺ポップンあんまりやらないから……」
確かにポップンはあんまりやってないので、オブジェ(ポップ君?)の色とボタンが覚えられて
いないし、ボタン自体硬くて、強く叩きすぎて手を痛めたりするのだ。それに1番に、
恥ずかしすぎ……
「そうじゃなくて、私たちならモチビーマニでしょ」
そうきたか。というか既にそでを引っ張って筐体の前に連れて行こうとしている。つられて
ベンチを立ち上がったのだが……美鳥は恥ずかしくはないのか?それとも美鳥は俺のことを
単にビーマニ友達としかとらえてないのだろうか?
「サナモレって、2人プレイにうってつけの曲なのに、どうして消えたんだろうね」
サナ・モレッテ・ネ・エンテ、だっけ。IIDX4thだけに登場してたんだよな、家庭用GOTTA2
からの移植だけど。アニメーションがMiracle Moonよろしく「みん○のうた」みたいなんだよな。
『ワタシのカレはダブルプレイ好き』……
「ワタシのカレはダブルプレイ好き♪」
俺が歌詞を思い出したと同時に美鳥が鼻歌で歌った。そういえば俺ってどっちかといえば
ダブルプレイ好きなんだよな…………?