修学旅行3日目


 なんか微妙に足が筋肉痛……スキーに不慣れで無駄に力入れすぎたんだろうか、それとも

ボーゲンのやりすぎか(謎)朝飯のため下の階に降りてきた時にも、他の生徒からそういう声が

聞こえてくるし。今日大丈夫かな……

「おはようテツ君」

 体操服(冬だから当然ジャージ)で現れた瞳由ちゃん。というか俺ら全員ジャージだが。

「おはよう瞳由ちゃん、足痛くない?」

「私は平気、滑り方分かったら足に負担がかかりにくくなるから」

 へぇーやっぱそうなのか、ビーマニだってそうだもんな(ぉ やっぱ経験者は違うねぇ……

続いて佑馬と七希菜ちゃんも見つける。クラスも(当然部屋も)違うのによく朝から見つけて

くっついていられるな、佑馬……その佑馬はなぜか全身筋肉痛みたくぎこちない動きをしていた。

「よ、佑馬」

「ぬわっ!……テ、テツ、いきなりさわるなよ……」

 お約束だお約束。一方の七希菜ちゃんも足を痛そうにしているが、佑馬ほどではない。

「七希菜ちゃんも筋肉痛?」

「ええ、でも同じ部屋の娘たちはもっと痛そうにしてましたよ」

 そりゃ女の子の方が筋肉弱いからすぐ痛めちゃうだろうな。……一部男も(例:佑馬)。

 食堂らしき所に全員の食事が既に並べられていた。席は特に決まってないようなので、

どこに座ろうか見回したところ、あおいちゃんの姿が目に入った。そういえば彼女と学校の

食堂で食べたことなかったな……この機会にと、彼女の隣に座ることに。

「おはよ、あおいちゃん」

「あ、タイトさん……おはようございます」

 相変わらず感情表現が乏しい……が、最近微妙な違いがわかってきたような気がする。

まあ皆そうなのだろうがこの質問。

「なんか疲れてるように見えるけど……」

「はい……腕が痛くて……」

「……腕?」

「昨日なかなか滑れなくて、ステッキで無理矢理前に体を進ませようとして……」

 ああストックね……あれは加速を補助するのに使うだけであって、あれ自体で進ませようと

するって……そりゃ腕が筋肉痛になるよ。それにしても……

「やっぱりというか、あおいちゃん腕細いよなぁ」

 俺なんかがつかんだら折れそう、ってのは言い過ぎかもしれんが、七希菜ちゃんよりも

細いのは確実だろう。背も低いのも原因だろうが。思わず手をあおいちゃんの肩口にやり、

ゆっくりと力をこめた。

あおい & 恵理

「あっ……」

「……あ、ゴメン、痛かった?」

「……いえ……気持ちいいです……」

「コラ、セクハラ男」

 いきなり後ろから腕をはたかれる。振り返るとあおいちゃんの保護者(?)、益田がジト目で

俺を睨んでいた。

「セクハラって……人聞きの悪いこというなよ」

「じゃあスケベ男」

「それも同じだろ……」

 反論するのも面倒なので止めた。というか半分は、下心があったことを否定できないのだが(ぉ

「益田はスキーできるほうなんじゃないか?」

「なんで?……まあ実際そうだけど」

「昨日は恵理さんに教えてもらいました……」

 とあおいちゃん。てことは本当は上級者コースで思い切り滑りたかったのに、あおいちゃんの

ために初心者コースに留まってたとか……

「よし、じゃあ今日は俺があおいちゃんに教えるよ」

 昨日生まれて初めてスキーしたってのにいきなり先生気取ってみる。というかこれも下(略ぉ

「益田は上級者コースで楽しんでこいよ」

「ちょっと、なんでアンタが……」

「来る前から教えてあげるって、約束してたもんな?」

「はい……今日は恵理さんはいいですよ……」

「……」

 あおいちゃんにも言われ反論できない益田。最近この3人が集まると多数決で事が運んで

いってるような気がするが……3人セットってことか?(謎)

「……あおいに妙なマネしないでよね、変態男!」

 そう言い捨てると、てっきりあおいちゃんの隣に座ると思っていた益田は別の遠くの席の方へ

行ってしまった。というか男としては健全で、変態でも何でもないと思う行動だが……

「まいいや、今日は本当に俺が教えるから、力抜いて滑れるように頑張ろう」

「……はい」

 

 ……あおいちゃんはそんなに上達しなかったことを付け加えておく。多分俺の教え方が

下手だからなんだろうが……


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