アオイ星の娘


「ほらあおいちゃん早く」

「で、でも私……」

 今日の夜、俺はあおいちゃんに学校に来るように半ば強引に約束した。一応約束ということで

来てくれたが、まだ停学中の身だということでなかなか学校に入ろうとしない。

「今日は珍しい土星食が見られる日なんだろ?天文部の皆も待ってるよ」

 俺はあおいちゃんの手を引っ張って校内に入った。この時間となるとさすがに明かりが

ついているのは屋上くらいである。

 

「ふう、やっとついた……」

 引っ張って走ってきた分体力を消耗して息が切れるが、あおいちゃんも同じようにはぁはぁ

言っているのを見て、もうちょっとゆっくり来ればよかったと思い――それでも早く行きたいと

思い屋上への扉を開ける。天文部室の入り口の扉に、一人の生徒がもたれかかっていた。

「……恵理さん」

 思わず俺の背中に隠れるあおいちゃん。あの事件から今日会うのが初めてで、まだ謝っても

いない。益田がまだ怒っていると思っているのだろうか。外からは見えないが腕にはまだ

包帯を巻いているらしい益田は、ゆっくりとあおいちゃんの方へ歩み寄り……

 パチン!

 怪我してないほうの手でいきなりビンタを……って

「おい益田……」

「これで……」

 怒ってるのかと思ったが不敵な笑みを浮かべる益田。あおいちゃんの方もそんなに強く

叩かれていないようだった。

「……おあいこね」

「……恵理、さん……」

 あおいちゃんは涙を浮かべながら何か言おうとしたが、その前に益田はくるりと振り返り

歩いていった。おあいこ、ということは謝らなくていいということだろうか?

「さ、皆待ちくたびれちゃってるわよ、早く来なさい」

 そしていつもの口調になる益田。もうあおいちゃんのことを許しているのだろう。やはり

二人の仲だから、ということだろうか。

「大丈夫?あおいちゃん」

 大したことないとわかっていながら尋ねてみる。彼女は軽く頬に手をあて、そしてその手で

軽く目を拭き、笑ってみせる。

「大丈夫、です」

 あおいちゃんの顔が、夜なのに明るく輝いて見えたので思わず見入ってしまう。

その視線を感じてあおいちゃんもドギマギして顔を赤らめる。

「コラッ、二人の世界に入らないでさっさと来る!」

 益田の怒鳴り声。あおいちゃんの友達の河合さんや、卒業した部長さんも外にでて準備

している。そんなみんなの前で言わなくても……

「い、行こうか」

「……はい、テツさん」

 再びあおいちゃんの手を取って皆の所へ歩いていく。今度はあおいちゃんも強くにぎり

返してくれた。ふと、2人がお互いかけがえのない存在であると実感する。そう太陽のような

……いや、俺もあおいちゃんも太陽なんてガラじゃないけどな。さながら、俺が月で――

あおいちゃんは地球。いつも彼女の方を見ていて、暗いときでも彼女を照らしていられたら。

あおい & 恵理

〜照下 あおい 編 Fin〜


あとがき

泡:一番ストーリーが考えやすかった?あおいの話。

あ:恵理さんにはひどいことをしたと思いますけど……

泡:あの流れだと仕方ないだろ。ちゃんと益田のストーリー考えれば益田Endもできるけど、

 そしたらあおいはテツと一緒になれんということだぞ(笑)

あ:それは……嫌です

泡:初めから「目の前で交通事故で死んだ弟がいる」と決まってたからな。まあそれに益田が

 あれだけ絡むとは思いもしなかったけど。しかもデフォルトとは違って本当は仲がいいし

あ:あの、初めて恵理さんが登場したとき、背が高いって書いてましたけど……

泡:え?……20話「からみ」――あホントだ。102話「荷物持ち」でもテツと同じくらい

 あるし……でもどう考えてもそこまで高くないぞ、少なくとも瑠璃絵さんよりは

あ:皆さんの身長とか決まってるんですか?

泡:決めようかな……小説キャラ紹介のページとか作るとか(面倒だけど)。恵理を含む8人だと

 「(170)>瑠璃絵>恵理>巫琴>美鳥>(160)>瞳由>藍子>あおい>七希菜>(150)」、か。

 テツは僕と同じで173にしておこう(笑)

あ:結構細かいですね……千代川さんの方が私より低いんですね

泡:一応デフォルトで決まってたのは、ナキナの154とソフィアの166。ソフィアは高いだろ……

あ:じゃあ私は156くらい……ですか?

泡:156……2巻で見ると全く同じだな、大阪と(ぉ そして先輩は意外と159もある、と(ぉぉ

 ちなみに葵は153か。足して2で割ればピッタリ(爆)

あ:……恵理さんが好恵という人みたいな立場だという意見も……「恵」繋がり?

泡:それはちょっと違うかも……ってマニアックすぎじゃ(核)


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