朝か……今日はテストが……じゃない、祝日だっけ……じゃあなんで目覚まししてんだ……？
せっかくの休みなんだから、寝かせて……
「……じゃねぇよ」
誰にツッコんでいるのかはともかく、気合を入れてベットから身を起こした。今日は瑠璃絵
さんのオーディションの２次審査がある日だ。だから休みだってのに目覚ましかけてたんだっけ。
昨日はガラにもなく深夜までテスト勉強してたから、もう少しで二度寝するとこだった(汗)。
ともかくそうならないようにカーテンを開け、日の光を浴びる。といっても日の出は遅いから
まだ日の出すぐって感じなんだけど。
朝食食べて、トイレで出して、パジャマから着替えて、忘れ物ないかチェック。
財布も持ったし携帯電話も持ったし部屋の鍵も……よし、他にはないな？あんまり遠出は
好きじゃないはずなのに、こういうときにはうきうきして来るんだよな……とにかくいろいろ
確認して、自分の部屋を出た。
４階だから階段で降りてもよかったのだが、エレベーターが丁度４階で停まっていたので
それで降りることに。ボタンを押して、扉が閉まって、降りて……
……ガタンッ
シン…………
「……あ？」
誰もいないが思わず声を漏らしてしまうほどの唐突の出来事。エレベーター内の照明が
消えて、本体自体も全く動かなくなってしまった。これってひょっとして、ドラマとかで
よくあるやつ……じゃなくで、故障した……？！
「っくしょ、急いでるってときに……」
とまた独り言をいっても始まらない。こういうときはエレベーターの会社に電話をすりゃ
いいんだよな、緊急ボタンを押して……
カシッ、カシッ
……………………
……何にも起こんねぇよ……これも故障かい……
しかしふと見ると、そのエレベーター会社の電話番号が。なら携帯電話でかければいいって話。
こういうときに限って電池が少ない……ってことはない、ちゃんと充電してて満タンだぞ。
そこまでお約束じゃねぇぞ(誰に言ってんだ……)。
プルルルル、プルルルル……
さっそく電話する。まさか祝日だから休みだ、なんてことはねぇよな、ちゃんと365日とか
なんとか書いてるし……おっ、通じたようだ。
担当の人に故障して閉じ込められてることとマンションの場所を伝えて、すぐ直してもらいに
来るようにしてくれた。それにしてもここに書いてある電話番号、閉じ込められてから
知っても意味ないんじゃ……誰もが携帯電話持ってるとは限らんぞ？
JIVE,JIVE,JIVE, INTO THE NIGHT♪
……とは歌わないんだが、思わず口ずさんでしまうメロディが俺の携帯電話から。
着メロみんなbemani曲だからなぁ、３和音なのに。とにかく表示を見てみると、「ルリエサン」
の文字が。あ、閉じ込められて忘れてた……そろそろ電車が出る時間だっけ、こりゃ一人で
行ってもらうしかないな、とりあえず電話に出る。
「もしもし、瑠璃絵さん？」
『もしもしテツ君？今どこにいるの？』
「ちょっと、エレベーターの中に閉じ込められまして」
『……えっ、エレベーターに！？』
電話越しに動揺の声が聞こえてくる。つい会話の流れで答えてしまったが、もしかして
余計な心配させてしまったか？オーディションに影響しなきゃいいけど……
「ああ、大丈夫ですよ、すぐに業者の人が来て直してくれるって」
『で、でも……本当に？』
「ええ、まあ」
本当はちょっと時間かかりそうなんだけどな……まあちゃんとトイレにいったのは正解か(笑)
「だから悪いけど、瑠璃絵さん一人でオーディション受けに行ってくれるかな」
『え、あ、うん……でも……』
やっぱり心配させちゃったよ……これって俺のせいなのか？とにかく時間は迫ってきてる、
早く瑠璃絵さんに電車に乗ってもらわないと。
「俺は瑠璃絵さんなら一人でも勝ち残るって信じてるから、自身もって行ってきてほしい」
……しばらくの沈黙。
『……うん……わかった』
あんまり納得していないような返事だったが、ちゃんと行ってくれる模様。これで俺も
何も心配はなくなったな、実際瑠璃絵さんならオーディション全部通って優勝……
までは保証できないが、２次くらいなら軽く通ると思ってるし。でももし落ちるなら、
最終オーディションよりは２次や３次くらいで落ちたほうが……って何落ちたときのことを
考えてるんだ俺は。優勝だけを信じなきゃならないじゃないか。
……なんか一段落すると眠たくなってきたな……業者がくるまでここで一眠りできるかな？
俺はその場に座り込み、壁を背にしてあぐらに頬づえ。……そのうち……うとうとと……
ｚｚｚ