友情と愛情


 今日も目が覚める。もうすぐ2年も終わり、春休みだ。そう思うと朝の眠気も吹き飛ぶほど

ハイテンションな気分になれる。もちろん、ハイな理由はそれだけではないのだが……

 

「おはよう七希菜ちゃん、佑馬」

 いつもの交差点でやはりこの時間に2人は信号を待っている。俺の声に振り返った彼女は、

嬉しそうに手を振った。

「なんだよテツ、いつのまにか七希菜を先に呼んでるじゃないか」

 そう佑馬に言われて、自分でも無意識にそうなっていることに気づき内心驚き。佑馬は頬を

膨らましているが、半分にやけている。正直ちょっとホッとした。

「そりゃ……レディーファーストって言うじゃないか」

「……似合わないなぁそんな言葉、正直に先に目に入ったって言えよ」

 距離的には佑馬の方が近かったのに、だ。確かに2人がいるか探したというよりも、

彼女がいるか、だったかもしれない。佑馬に詰め寄られ、七希菜ちゃんに見つめられ。

冷や汗をかきながらも俺は言った。

「……そうだよ」

「あーあ、テツまで七希菜の虜になっちゃったんだなぁ〜」

 周りに聞こえるくらいに声を張り上げて言われると、俺も七希菜ちゃんも顔が赤くなってくる。

周りの生徒もジロジロ見だし……そりゃ七希菜ちゃんは学年で一番人気がある娘だろうからなぁ、

だからどうということは無いんだけど。

 信号が青になった。佑馬がまだグジグジ言いそうなので、俺は七希菜ちゃんの手を取る。

「走ろう、七希菜ちゃん」

 一瞬、手を見、俺の顔を見……今まで見た中で一番の笑顔を見せてくれた。

「……うん!」

 彼女を引っ張り過ぎない程度の速さで俺が前を走る。はっきりとにぎり返してくれる手が

温かかった。

「え、ちょちょっと2人ともっ!」

 置いてけぼりをくらって、慌てて後を追いかけようとする佑馬だが、周りの生徒の集団に

阻まれてなかなかついて来れない。それを振り返り見ながら、視線を七希菜ちゃんに戻す。

なびく髪が朝日に照らされて金色に光って見えた。俺はこの輝きを守っていきたい、

友情と愛情の中で。

七希菜 & 佑馬

〜千代川 七希菜 編 Fin〜


あとがき

泡:いや〜、やっと一人目終わりましたな

七:そうですね。あ、七月の七ではなく七希菜の七ですので(^^;

泡:しかし他にあるんだろうか、「親友の彼女を奪うようなストーリー」

七:私が心移りというか、本当の恋に気づくのが遅かったから……先に佑馬君の告白を

 断わっていれば、「親友が好きだった娘と一緒になる」という感じになってたのでは

泡:佑馬……じゃない、ユマとナキナはやっぱカップルじゃないと変かな、という

 デフォルトからの先入観があって……七希菜が断わることもないかな、と。

七:それでも、唐突過ぎはしませんか?私がテツ君を好きになるというのは……

泡:佑馬よりテツの方が頼りになる、というのはあったかも知れんな。あといろいろ

 相談に乗ってくれるテツをいい人と思ったとか。……ここって言い訳の場所か?(ぉ

七:裏話というのもないでしょう……あ、今ふと見たんですけど、76話「試食」で

 私の母親が出てるんですけど、デフォルトでは決めてませんでしたよね

泡:ユマはいるんだけどな。まあ全部決めてたらただでさえ多いキャラなのにさらに……

 ってことになるので詳細はないです(^^;

七:あと別の人のシナリオでも私たちよく出ますよね、照下さんの話とか

泡:調理クラブ同士だからな。特に164話「益田 恵理」じゃ、あおいの話と言ってなければ

 七希菜の話かと間違うほど(笑)実はあれは結構前から決めてた話なんだけどね

七:それに比べて私の話はいきあたりばったりというか……やっぱり一番話作りが

 難しかったんじゃありません?

泡:1・2にを争うよな(苦笑)まあ設定だけはいっぱいあったから。勉強できる・料理できる・

 性格優しい・血が怖い(笑)

七:さ、最後のは……(汗)

泡:でもやっぱり「佑馬との仲を壊さずに」というのが難しかったかな。172話「絆」

 (実は初めて1文字のサブタイトルだったりする)では、七希菜が現れるまで僕も

 「無理」だと思ってたくらいだから(ぉ

七:テツ君と同じ気持ちになって書けてたのですね……やっぱり行き当たりばったり(^^;


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