そして……


「……本当に、親のところに帰っちゃうのか?」

「ええ、もう大家さんに言っちゃったし……」

 せっかく仲直りできたというのに、会う時間が少なくなるのは辛い。どうにかこのマンションに

留まって欲しいのだが……

「もう一回契約するとか……」

「でも私の部屋も次に住む人が決まって、もう空き部屋もないみたい」

 俺たちの高校に入学する新1年生の中に、このマンションの部屋を借りに来るのが多い。

1年から一人暮らしすんなよな?……俺も1年の途中からだけど。

「……いっそのこと、俺のところに来ない?」

「えっ!? それは……まだ早いんじゃないかな(*^^*;」

 慌てて手を振る瞳由ちゃん。そりゃそうだよな……俺も言って恥ずかしいぞ。しかし、

他に何か手はないものか……

「あれ?お兄ちゃんなにしてんの?」

 いきなり聞いたことがある声がしてびっくり……そういえばここはエレベーターの中で、

1階に停まってたままだった。それが外から開いて、そこに居たのは……なぜか俺の妹だった。

「セイ……なんでお前ここに」

「えへ、セイもここから学校通うことにしたんだ〜」

 てことは……セイも俺と同じ高校に受かってたのか?最近家に帰らないから全く知らなかった

……てことは、もしかして。

「お前、部屋はどこに……」

「お兄ちゃんの隣だって聞いたよ♪」

 ってことは、瞳由ちゃんの部屋だったとこだよな……!

「セイ、俺の部屋で一緒に住め、そんでお前の部屋瞳由ちゃんに譲ってくれ!」

「えっ、何、えっ?」

「ちょ、ちょっとテツ君それは……」

 妹に両手を合わせてお願いなんかしたことないんだろうが、本当に一生のお願いって感じで

言ってみる。セイだけでなく瞳由ちゃんまで困っているが。というかこの年になって妹と同じ

部屋で暮らすなんて問題があるかもしれんが(ぉ

「そんな、悪いよ、私が妹さんを押しのけたみたいで」

「ねぇ、この人は?」

 妹が尋ねるのを無視してさらに提案。

「じゃあ……セイと瞳由ちゃんが一緒に暮らすってのは? 妹はこれでも炊事とか出来るから、

 役に立つと思うけど」

「でも……」

「もしかして、お兄ちゃんの彼女?」

 妹がいたずらっぽい笑みを浮かべて言ってくる。それを聞いて瞳由ちゃんは顔を赤くしたが、

俺は堂々と言ってやった。

「そうだよ、俺たち付き合ってるんだ。なぁ――瞳由?」

 いきなり呼び捨てで呼んでみたりなんかして、瞳由ちゃんもさらにびっくりした表情だが、

黙ってこくこくとうなずいてくれた。

「……だったら、瞳由さんと一緒に住んでもいいかな?」

 自分で決めるのに疑問形にするな。……でもこれで瞳由ちゃんと一緒に居られる時間が

短くならなくて済むな。セイが邪魔する可能性もあるが。

「ごめんね、これからお世話になるね」

 瞳由ちゃんも結局折れて、俺の案に乗ってくれたようだ。やっぱり俺と一緒に居たいと

思ってくれているんだろうな。

「ううん、こちらこそ。ところで……」

 好奇心旺盛そうな笑みに変わって、妹がとんでもないことを聞いてきた。

「キスは、もうしたの?」

 ボッ!! っと、二人の顔が真っ赤になった。

瞳由 & セイ

 

 

「テツくん、もう一回言って」

「えー、恥ずい……」

「今度は名前だけで呼んで」

「じゃあ……」

「うん」

「瞳由、好きだ」

「……うん……私も、テツくんが好きだよ……」

〜列戸 瞳由 編 To be continued〜


あとがき

泡:ラストはやはりメインヒロイン、唯一キスシーン有りな(爆)瞳由のストーリー。

瞳:キス(*・_・*)あの挿し絵で、初めてテツくんの目を描いてるけど……?

泡:メインヒロインの特権か(笑)まあ由来はPS東鳩あかりEDなんだけど、それよりも

 主人公の目を描かないという決まりはなんなんだろうな(謎)

瞳:それにしても私……そんなに嫌な女なのかなぁ? テツくんに好きになって欲しいから

 いろいろ仕組んじゃうし……

泡:あの設定は、最後の方まで決めかねてたんだけどな。前から好きだったかなんてことも。

 でも最後のシーン(瞳由がマンションを去るときに、追いかける)は決まっていて、それに繋げる

 話がそれしか思いつかなかったので……もしかしたら、本当に瞳由はSuper-Ability好きで、

 テツが作者の息子と知らずに恋人同士になって終わり、なんてことにもなり得たんだけど

瞳:でも13話「相合傘」は早いよね(^^; それを考えると、実は初めから考えてた設定じゃない?

泡:どうだっけな……1年も書いてると、絶対どっかで矛盾したこと書いてるような気がする

 ……120話「食い違い」では、テツがS-A詳しくないなんてウソついてるの明白なのに、

 瞳由はその言葉を疑おうともしていない。127話「「よかった」」は、普通自分の好きな異性が

 他に親しい人がいると知ったなら、嫉妬というよりもショックな反応すると思うんだが……

 まあこの場合は前から他の娘のことは知っていて、この回では「演技」だったとかね

瞳:それもヤな女じゃない(T_T)あと145話「修学旅行2日目」は千代川さん寄りの話だけど、

 私がテツくんを置いて一人上級者コースに行くっていうのも……

泡:とまあいろいろ紆余曲折あったけど、無事全シナリオ終了というわけだ。めでたしめでたし

瞳:……あれ、他の娘の話の最後は「Fin」になってるのに、私だけ「To be continued」(続く)

 っていうのは……まだ続き書くってこと?!

泡:いや……書くとしたら、もう分岐なんか考えずに、瞳由と一緒の高校最後の1年を送るという

 ストーリーにしようかなと。でも話がまとまっていないのでしばらくは書けない。

 来年になったら書く気になるかもしれないけど、僕も大学4年で忙しくなるだろうからなぁ

瞳:そうだよね、書かれてる物語が終わったとしても、その続きはあるはずだもんね。

 ……だったら他の娘も「Fin」じゃない気もするけど(^^;


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