「悪ぃ、でも担任のせいだぞ」
珍しく帰りの話が長かったので、約束した時間より少し遅れてしまったが、持つものは
持ってゲーセンにやってきた。待ってるのはBECEこと蓮井 美鳥で、持ってきたのはPS2と
『IIDXセット』である。チャリのかごには入りきらなかったのででっかい紙袋に全部入れて
ハンドルにひっかけて漕いできたので、何度かバランスをくずしかけてヒヤっとしたが。
「そういえば５ｔｈ、隠し曲出てたよ」
「そっか、ネットで書かれてたけどここもそうか」
２人してゲーセンへ入る。もちろん荷物はかさばるが置いてはいけないので一緒に。
一人がやってるときにもう一人が持ってれば置き引きとか心配ないよな。まあそういう
暗い話は置いといて、IIDXはやはり５thに集中。さっそくＶのAnotherをやっている人が。
極悪譜面とは聞いていたが、これほどまでとは……クリアできる奴いるわけが……と思いきや、
今プレイしてる人はボーダーでクリアしてるし(汗)うーんここも人外達人いるんだなぁ、
隣の美鳥も口開いたままだし。俺たちも並んだが、HELL2コースをやってる人が多いな。あの達人
以外はそれほどでもなかったが、HELL2をクリアしてる人は何人かいたな。俺もその中に入れると
いいのだが……
「私はいいから……そんなに上手くないし(^^;」
周りの空気に圧倒されて遠慮する美鳥。彼女だってそこそこ上手いのだが、HELL2に挑戦
できる程の力はまだない。HELLと比べてどっちがムズイかは未知数だか。というわけで俺が
HELL2に挑戦――
５２＞１８＞８＞２０＞０……やはりＶはひでぇ……Realも失敗だし。どっと疲れたぞ
こりゃ。同じ曲を弾いたとしてもクリアしたかしないかで疲れは違うしな……
「仕方ないよ、初めてだったし」
そんなに落ち込んで見えたか、肩を叩いてフォローを入れてくれる彼女。初見だからこそ
クリアしていい所を見せてやろうとも思ったんだけどな、そう考える時こそ失敗するのだが。
列を離れてがら空きの４ｔｈへ。今度は彼女がHELLコースをプレイ。HELLとHELL2って、
HITCH HIKERとその２みたいな名前の付け方だな……
結果は９０＞４０＞４８＞６＞０。俺が見た中では初めてサファリ抜けたんじゃないか？
「うん、あれから何度もやりこんで、今初めてホリックまで行ったよ」
彼女もかなり息があがっている。７keyでクリアできなくてもEXPERTで抜けるとかなりの
充実感があったりする。EASY入りだけど。
「まあやりこむのもいいけど、これからはこの家庭用でやれば、金は減らんぞ」
と言って袋を指す。初めてHELLが登場した3rd styleの方には、ちゃんと収録されている。
「でも"easy"ってはっきりした難易度にできないみたいでしょ？」
む、確かに……でも最終的にはeasyなしでクリアするんだから、家でやる分には普通の難易度で
いいと思うのだが。
「それにゲーセンであれこれ言いながらやるからこそ楽しいし」
ギャラリーがあってこそのビーマニ、というわけか。自分の好みもさることながら、
『ＤＪシミュレーション』として周りを飽きさせない選曲を考えないといけないかもな。
ってお前HELLばっかじゃん……
5thは、7keyでＶ(A)をクリアしようとしているのか、２曲目でRegulusとかじゃなく
無難にRislimが選曲されている。まああれも最後の２４連打失敗したら怖いんだけど。
「Rislimってどういう意味なのかなぁ」
「公式サイト見てみたけど、パッと思い浮かんだ言葉で、意味はないらしいぞ。俺も英和辞典で
調べたりしたことあるけどな」
「ふーん……でもかっこいいよね」
アーケードでは歌詞は聞き取りにくい。特に同作曲者のDIAMOND JEALOUSYなんかは特に。
しかし本当に同作曲者かと疑うほどの曲の違い様だ。LOVE WILLや隠し曲のIn My Eyesと近いな。
ボーカルが同じだからか。でもこの曲はTranceではないが、"NEW ROMANTIC"ってどんなのだ……
俺が思うに、この曲はバンドに最適だと思うな……
「……あ、そうか、それがあったか」
「え、何？」
自分で言って納得していれば世話がない。美鳥が疑問符を浮かべてるので説明すると、
「高校でバンドやるのに、この曲を演奏できたらいいかなって。俺はまだ初心者だけど」
「バンドでやるの！？弾けるようになったら聞かせてね！」
「ま、秋の文化祭までには出来るようになったらいいな……」
「大丈夫か？結構かさばるだろ」
帰り際に家庭用セットｉｎ紙袋を彼女に渡したが、よく考えれば一気に全部渡すのは量が
多すぎる。まあコントローラは１つだけだけどな。
「平気平気、ビーマニのために疲れるもんですか！」
……それはそれで変だと思うけど。