天文クラブ


 学校が終われば体力温存のためにすぐ家に帰ってエアコンガンガンに効かせて寝る。一応

目覚ましを7:20に設定。自分から時間を決めて遅れたらかっこ悪いからな。さて、快適に

おやすみ……

 

 しまった。目を覚まして思い出したのだが……別に目覚ましの午前と午後を間違えて寝過ごした

とかじゃなく、夕飯を食べる時間を考えてなかったことだ。当然だが空腹……とりあえず

冷蔵庫にある食べられるものを詰め込んで、チャリで夜の学校へ向かった。夜といってもまだ

日が落ちて間もない時間だから、空には一番星くらいしか見えない。まあ雲は少なく晴れてるのは

一番いいことだけど。

 学校は開放的で、こんな時間でも空いている。夜にも授業があるわけじゃなくて、全部

クラブ活動のためとは、本当にそれに熱を入れている証拠だ。だからといってどのクラブも

こんな時間までやってるわけではなく、夜でないと活動できないクラブくらいだ。って天文

以外にそんなのあるのか?

 

 屋上までの廊下と階段には照明はちゃんとついている。生徒が勝手に点けたり消したりできない

はずだから、先生もちゃんと考えてくれているんだろう。そして屋上。ここで弁当を食べに来る

生徒もいるらしいな。ただごみがほったらかしにされてるとさすがに使用停止とかになるけど。

天文クラブの部室はすぐ見つかった。だって他に建物が無いから。大きさも見た目も、ウチの

バンドクラブと同じくらいだな……明かりが点いているので既に誰かいるみたいだ。扉の前でまず

ノックしてみる。

「どうぞ〜」

「すいません、俺あお……照下さんの紹介で見学に来たんですけど」

「ああ、君がタイト君かい。天文クラブへようこそ」

 俺を招いてくれたのはおとなしそうなの男子学生。思ったより細身とかじゃなかったな。

部室を見回すとまず望遠鏡が2台――よくわかんないけどそれなりに専門っぽいな。あと星に

関する本がいっぱい。部室には数人の学生(それだけでもバンドクラブ全員より多いけど)、

その中にあおいちゃんもいた。彼女の隣には親しそうな女生徒が本を持って座っている。

なんか、こっちの方が彼女に合ってそうだな、料理クラブよりも。だってあっちにゃ益田が

いるしね……

「私は反町優大(そりまち ゆうだい)、このクラブの部長を勤めています。タイト君は星に関して

 どのくらいの知識があるのかい?」

 初めに俺を招いた人が部長だったのか。学年バッチは3年だしな。

「えと……星座くらいですかねぇ、12星座とか、北斗七星、カシオペア座……」

「よし、じゃあ今日はいろんな星座を見ることにしよう」

 なんか小学生の集団が天文台に見学へ行った時に、そこの関係者が小学生に教えるようなのと

同じような感じがしたのだが……ただ星を見るだけで楽しいのか、あるいはやることが無いのか。

本当にバンドクラブに似てるけど、そっちを動とすればこっちは静。なんかここにいると

落ち着くよな。だからといってこのクラブに入るとかは考えてないけど。

 望遠鏡の調整の間、あおいちゃんと話すことに。しかし彼女に話し掛ける前に、隣の女の子が

「もしかして……あおいちゃんの彼氏ですか?」

 いきなりズバッと聞かれて心臓が飛び出しかけたぞ……どう答えていいかわからないので

あおいちゃんの方を見たが、照れているように見えるがうつむいて答えない。仕方がないので

「ま、まだそういう関係では、ない、よ……」

「まだ、ですか(^-^)」

 尋ねた女の子は俺の返事に意味深な笑い。これから進展するかは未知数だし正しい返事とは思う

けど……なんというか、あおいちゃんはおとなしすぎて反応があるのか無いのかわかりづらい。

あおい & ソラ

「えと、君は……」

「あ、わたし2年5組の河合宇宙(かわい そら)です、あおいちゃんとは仲のいい友達よね♪」

 さっきの照れた(ように見える)ままうなずくあおいちゃん。やっぱり友達いたのか、なんか

安心したな。やっぱり共通の趣味があると親しくなりやすいんだろう。

「タイト君、準備が出来たよ。のぞいてごらん」

 反町部長が声をかけたので、あおいちゃんと共に望遠鏡の前へ。彼女に本を開いてもらって

図を指しながら、本物の星空と見比べて星座を確認する。カシオペア座ってW型の5つの星

だけかと思ってたけど、星座を構成する星は他にもあったのか……レグルスといえばしし座だが

だいぶ西の空に傾いていて、夏が進むに連れて見えなくなるらしい。ポラリス(北極星)は当然

いつでも見られるのだけど。

 

 結局9時過ぎまで星空を眺めて、解散。たまにじっくりと夜空を見上げるのもいいな。でも

毎日のように見るのは考えようだけど(ぉ


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