結果発表


「いくぞ?、せーの……」

「「ドン!!」」

「ぐああぁっ、2点差!?」

「よっしゃ、3勝目♪」

 期末テストが全部帰ってきたので、佑馬と見せ合い。お互いの点差が近いほど、喜びと悔しさは

一塩、それで教室内に悲鳴が聞こえてしまうのだが、既に室内全体がうるさいので目立たない。

今見せたのは5枚目のWriting(英語)で、俺が79点、佑馬が81だった。

「Writingはいつも勝ってたのに……」

「僕だけ七希菜に教えてもらったからね〜」

 そうか、彼女英語得意だもんな、雨さえ降らなけりゃ俺も点が上がってたかも知れないが、

終わったことは悔やんでも仕方ない。

「よし、次は化学だっ」

「え、化学?(汗)」

 たじろぐ佑馬。フッ、今回の化学は難しかったようだが、俺は瞳由ちゃんに教えてもらったから

堂々の85点だ。彼女は90点以上あるんだろうけど。俺たちのやりとりを見て笑ってる瞳由

ちゃんが向こうの席で見えた。

 

「……あのWriting……」

 佑馬が自分の教室に帰ったあと、俺も家に帰る前にトイレに。しかし数学2つ、化学、そして

家庭科は勝ったが、国語2・英語2・保健体育はとられて4勝5敗……地歴が悪かったから

合計でも負けちまったし。Writingで選択問題一問でも合ってりゃ、教科別では勝ってたのに……

思わず口にしてしまうほど悔しいぞ……といっても点数自体は悪いわけじゃないもんな、

あいつの方が良すぎるんだよ、七希菜ちゃん独り占めで勉強できたもんな。しかし逆にある意味

集中できんもんなんじゃないのか?俺はそうだったのかも知れん……

「見せなさいよあおい!」

 いきなりどっかで聞いた剣幕。そこは当然あおいちゃんのクラスなのだが、席替えしたためか

閉まっているが窓際でいきなり聞こえた。また益田が絡んでるのか。

「いいじゃないの減るもんじゃないし、アタシが教えてあげるって言ってんじゃない」

 テストの結果……だよな?また変なモンだったら俺も止める勇気はないが(謎)

「ホラ、アタシのも見せてあげるから、あんたもテストを……」

「やっぱりそうか」

「ひゃっ!?」

 突然窓が開いて声がしたらまあ驚くだろうが、益田はいいリアクションをしてくれたので

思わず笑いそうになった。あおいちゃんは相変わらず反応は薄いが。

「なっ、なんだアンタかい、先生かと思ったじゃない……」

「一緒だ、またあおいちゃんいじめてんだろ」

 やっぱりテストの結果のことでもめてたらしく、あおいちゃんはしっかりと答案を抱えている。

どうやら間違ってる所をみてたときに、突然益田がからんできたので鞄にしまうことができな

かったのだろう。益田のほうは今鞄から取り出した風にテストが机に出ている。但し裏だが。

「だからいじめてるんじゃなくて、友達として……」

「いじめてるやつは大体そう言うんだよな、それかこういうのも友情と思い込んでるとか」

「なんなのアンタ?そこまであおいのことかばうわけ?」

 そこまでってどこまで……?俺はこういうのは見てられんというか、ふと知り合った娘が

嫌な目に合ってるのは、俺もやっぱ嫌だし……それだけだろうか?

「……いいです」

 ふいにというか、やっとあおいちゃんが口を開いた。抱えていたテストの束は手に持ち替えている。

「けんかしないでください……恵理さん見せますから……」

 自分のせいで俺と益田がケンカしてると思ったのだろうか。確かにそうだが、別にこいつと

仲悪かったって別に気にしないのだが。

「いいって、益田なんかに見せる必要……って見てるし」

「……あーあ、やっぱ相変わらず可も不可もないわね〜」

「こら、見ておいてそりゃないだろ、つーか微妙だなオイ」

「ホラ、これがアタシのだよ」

 律儀にも自分のも見せる益田。しかも気づいてないのか俺にも見えてるし。だが……その結果を

見れば、わざと俺にも見せてるように思えた。Writing100点て……他のも俺より上だし。

「益田って、そんなに頭良かったのか?」

「毎回学年10位以内だそうです……」

 あおいちゃんに解説をしてもらう。こんなふうに毎回結果発表してるのか?ただ自慢してる

ようにしか見えんのだが。

「今回は自信あるから、千代川さんには悪いけどトップ取っちゃうかもね」

 えらく自己陶酔してる益田。同じ頭がよい娘でもやっぱ七希菜ちゃんみたいに自慢しない方が

いいよな。まあ二人とも努力(勉強)はしてるんだろうけど。

あおい & 恵理

「あおい、アンタもこのくらい勉強しなさい」

 さっさとテストを鞄にしまうと、またさっさと帰ってしまった。

「なんなんだあいつは……」

「……私にもっとがんばれって言ってるんだと思います……」

「ど、どこをどう聞いたら……?」

 あおいちゃんもつくづく人に優しい(というか自分がない)と思った。そういや俺トイレに

向かってたんだっけ……


Next Home