ダブルプレイ


 やれやれ、クラブが思ったより早く終わっちゃったから、ついついゲーセンに来ちゃったよ、

どうせ時間いっぱいクラブやっても来るんだけどな。やっぱ既にビーマニ漬けになってるや。

んなわけで箇体は……相変わらず5th人気で、今他校男子高生がEXPERT NEW WAVE Courseの

3曲目、"Rislim"をやっているところだ。実はあの曲好きだったり。ミーハーかも知れんが……

で、4thは空いていたのでとりあえずこっちで、久しぶりにDP HYPER Courseやるか。昔はeasy

有りでもJiveで0になってたけど、今やクリアは余裕。スコアラーじゃないから得点ショボいが。

 1曲目NewYorkCityBoy。初めはちょっとミスるんだけど、後はコンボが繋がって100%抜け。

2曲目はJive into the Night。楽しい曲だが一番減る。今だに2度目のサビ前の左右の変則連打は

減りまくり、66%までになる。3曲目のFANTASYは左手8分が疲れるが、繋げられれば回復でき、

74%になった。

 3曲目終了後、ディスプレイで反射して後ろを見れば、いつぞやの「HELL COURSEの彼女」が

後ろに並んでいて、俺のPLAYを見ていたようだ。DPをやる人が少ないからか、半ば口を開けて

呆然としているようにも見える。これで変態プレーと思うなよ、俺だって練習してのこの腕だし、

世の中にゃDP HELL・TaQ Courseクリアとかいるからな。俺から見りゃそっちの方が……いや、

それは禁句だな。気を取り直して4曲目。

美鳥

 FinalCountDown。FREEでのクリアは簡単だが、EXだと意外とゲージが減ったりする。で68%。

ラストはB4Uとにかくサビのラスト、そして曲のラストが難所。でもゲージも残っているので

落ち着いてのプレイで54%。まあこんなもんだな。っと、表コースなんでDJ NAME入力画面に。

普段はいつも"AAAA"で済ませてんだけど、今日は何となく"LED"としてみた。まあバンドネーム

なんだがな、慣れようと思って。

「あの……この前は……」

 台を離れようとした瞬間に背中へ声が投げかけられた。位置的にも誰かは予想できたが――

振り返れば、「HELL以下略(ぉ」だった。先日のぶつかった件で俺を覚えてて、まだ気に

してたのか、結構律儀なんだな。

「ああ、同じビーマーなんだし、気にしてないよ」

 俺がそういうと、多少はホッとしたようだ。

「LEDって、L.E.D.LIGHTから?」

「お、やっぱわかるか」

 彼女は台の前へ進み、100円玉を1枚入れる。オプションはHi-Speed1とEasy。

「ここにはよく来るの?」

「まあ、2日に1日以上はな」

 選ばれたモードはEXPERT。通称アナザーボタンを押しながらCLUB Course選択……ということは

またHELL Courseか。

「そういう君は?」

「こないだ初めてここに来たの、今までは1PLAY200円のところだったんだけど」

「そりゃ高いな」

 穴修羅が始まった。曲が流れるとその音でさすがに会話はできないし、PLAY中は譜面に集中

させなくては。やっぱり最後は苦手のようで86%だ。

「この最後、どうにかならないかなあ」

「同じことの繰り返しだから指使い覚えれば……」

 穴子はさすがに辛い。連打で減り、S地帯で減り、8分地帯で減り……残りは22%。

「1P側の方がスクラッチとりやすいかも……」

「無理に変えん方がいいと思うけど」

 穴鰓。前はここで終わっていた。今回も減ったけどなんとか8%残る。ちゃんと体も倒れずに。

「初めてここまで来たけど……やっぱ無理よねぇ」

「え?でもここから……」

 回復できるのではないか、と思ったが、彼女は初めの減速地帯はつなげて12%にしたものの、

通称「白滝地帯」がてんで押せていない。試行錯誤するも、あっというまに0%、FADE OUT。

「そこは右手で357を担当すれば繋がるんだけど……」

「そうなの?」

 お手本に俺もHELL Courseをやる。結果は 96 > 70 > 86 > 66 > 4 (汗)。とりあえずクリア

できてよかった……。それに穴鰓後半全部繋げたしな。

「シュラーク最後どうやってたの?」

「R5スクラッチ無理矢理……(^^;」

「エラ回復してるし(汗)」

「サファリ、普通にクリアできるんじゃない?」

「さすがにホリックはねぇ、でもHELLクリアすごーい……」

 初めの印象よりもかなりよく喋る明るい娘だった。なんだったんだ、あの「謝り」は……

む、もう結構時間経ってるじゃないか。

「そろそろ腹も減ってきたし、俺帰るわ」

「そう?じゃあまたねLED!」

 LEDって……DJ NAME(バンドネーム)じゃねぇか、本名教えてないからそう呼ぶしかないけど。

「そういえば君は……」

「あたしは"BECE"、『ビース』って呼んで!」

 なんでBECEなんだ? と思いつつも手を振ってゲーセンを去る俺。彼女はまだHELL Courseに

挑むのだろうか。そんでこれからいろいろと攻略のポイントを聞かれそうだな……「教える」

ってのはどっちかというと下手なんだけどな。


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