補習再開


 合宿から帰ってきたらすぐ学校かよ……2学期の始業式は9月1日だが、今日から5日間

補習がある。3年生はもう1週間前から補習というのはご苦労だが、1年生は無いので

うらやましい……ま、去年そうだったから仕方ないけどな。それに、

「久しぶりにこの制服だね」

 洗濯してきれいになった(と思われる)制服を着て楽しそうな瞳由ちゃん。クラスメートと

また会えるというのもいいもんだ。といってもそれほど親しい人が多いわけでもないけど。

「おはようテツ!」

 いつもの交差点で佑馬と七希菜ちゃんとも合流。いつものメンバーとなった。「いつもの」

って言葉はなんか落ち着くよな……

「ところでさ、そろそろ学園祭の出し物を考える頃だよね」

 横断歩道を渡るときの佑馬の発言。学園祭は9月末ごろにあり、その2週間くらい前から

授業は午前まで、午後は各クラスの出し物の準備に当てられる。それでも自分たちのクラスを

使うとなると、学園祭前最後の授業の後に机の移動などをしなくてはならないので忙しい。

ちなみに去年の俺のクラスでは喫茶店みたいなのをやったが、あまり客足は伸びなかったらしく、

赤字な結果になった。中身は缶ジュースだったしな……

「俺たちのクラスは……なんだろう?」

 クラスのことにあまり興味ないので、もしかしたら既に決まっているものだと思い瞳由ちゃんに

尋ねてみる。

「さぁ、まだ決まってないんじゃないかしら?でも綿貫君、去年と同じことやりたいって

 言ってたような気がするけど」

「去年の綿貫君のクラスは、確かお化け屋敷でしたね」

 七希菜ちゃんが教えてくれる。室長の綿貫はこういうことはやる気だもんな。お化け屋敷……

多分大きな教室を借りて机並べてダンボール張って、って感じだろうな。ってそれ手伝わなきゃ

ならんのか……お化け役は面倒だぞ。

 

「なあ武市」

 補習が終わって、綿貫と親しい武市に、出し物のことについて何か知ってるか聞いてみることに。

「うん、お化け屋敷って言ってたね。始業式にみんなに言うとか言ってたけど」

「ふーん……ありがとな」

 このまま他の人の意見が無ければ決まるだろう。去年のお化け屋敷は好評だったらしいし。

納得した所で帰ろうとしたとき、

「テツ君」

「瞳由ちゃん、帰るんだ。クラブは?」

「今日は無いよ、テツ君も帰るんだったら一緒に帰ろっ」

 瞳由ちゃんはアートクラブだったよな、定期的に冊子を出してるけど、学園祭ではページ数

増やして出す他、部室にて各部員が描いたイラストを展示するらしい。学園祭のアーチは、

美術部が描くらしいのだが。

「今回はね」

 イラストのことになると嬉しそうに話し出す瞳由ちゃん。俺もビーマニのことについて話す

ときは周りのことを気にせずにベラベラ話してしまうから、彼女にとってはそれほど好きなこと

なのだろう。しかし俺にとってはそれは興味が無い以上にあまり聞きたくないことだったり……

瞳由

「私もSuper-Abilityのイラスト描こうと思うんだ、まだあんまり上手に描けないけど、今毎日

 マンガを見ながら練習してるんだ」

「はは、そうなんだ……」

 こればっかりは作り笑い。彼女の絵はなかなかだし、親父のマンガの絵柄に近いと思うけど、

それでも俺が描いた方が似てるんだろうな……俺の絵柄を聞かれないかビクビクものだ。

「テツ君、リクエストない?特別号で描くキャラクター」

「えぇと……君の好きなキャラや、得意なキャラの方がいいんじゃないかな」

 最近は親父のマンガを見ようともしないので、新たなキャラとか知らないので適当なことは

言えない。というか好きなキャラなどあるはず無い……嫌いというわけでもないんだけど。

「そう?じゃ、楽しみにしててね♪」

 やれやれ……これがなけりゃ彼女はいい娘なんだけどな……って思うのは俺だけか。

 

 家のパソコンでネットしている時(ビーマニ関連で)、ふと気になって「Super-Ability」を

検索してみた。……でるわでるわ……こんなに人気があるのかと改めて実感。中には作者である

親父の顔を想像で描いてる人もいるし。素顔が知られてないのが救いだが、これも親父の希望。

本当は親父も俺の立場だったら同じ考えだと思うな。でも逆に、俺が俺の立場でなかったら、

素直にファンになってたかもしれない。ある意味不幸かもな……


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